NAFLD/NASHの進行を防ぐにはどうしたらいいですか?ウイルス性の肝臓病とはどんな違いがあるのでしょうか?
NAFLD、なかでもNASHの患者さんでは、肝臓病の進行だけでなく心血管疾患にかかる頻度が増えるため、一般の方に比べて病気の経過や死亡率がややわるいといわれています。とくに心血管疾患の発症はおよそ2倍になります。そのほか、NAFLDの病状の進行に影響する要因としては、年齢、糖尿病、肝臓の線維化、アルブミン低値、血小板低値があげられます。NAFLDでは7~21年の間に5~8%の人が肝硬変を発症するとされています。また、NASHでは3~10年の間に30~50%の人で肝臓の線維化が進むことがわかっています。過剰な飲酒は明らかに肝臓の線維化を進行させますが、少量の飲酒の影響については諸説があり、まだ一定の見解は得られていません。しかし、少量の飲酒でも肝臓の線維化が進むことや発がんに関係している可能性も報告されているため、基本的には飲酒は控えるほうが望ましいでしょう。
出典:
NAFLDと一般人(予想)の生命予後の比較
(Gastroenterology 2005;129:113-121より引用)
NASHは肝硬変になっても、初期の段階ではC型肝炎からウイルス性の肝硬変になった場合に比べて病状は軽いです。しかし、肝硬変が進むにつれてNASHによる肝硬変もC型肝炎による肝硬変も腹水や肝性昏睡などの症状が起こる割合はほぼ同じとなり、経過や死亡率もほとんど変わらなくなります。
NAFLD/NASHからどの程度の割合で肝がんを発症するかについては正確なデータはありませんが、高度の線維化、高齢、糖尿病などが発がんの危険因子と考えられています。
出典:
日本消化器病学会 編,日本肝臓学会 協力,患者さんとご家族のためのNAFLD/NASHガイド 2016 https://www.jsge.or.jp/guideline/disease/pdf/04_nafldr.pdf (2018年12月3日閲覧) Q7