B型肝炎はどうやって治療する?

B型肝炎はどのように治療するのですか?

B型肝炎ウイルスに対する抗ウイルス薬は、血中と肝臓の細胞内のウイルス量を減少させる効果がありますが、ウイルスを完全に排除することはできません。HBe抗原陽性からHBe抗体陽性への「セロコンバージョン」が起こると、ウイルス量が減少して、肝炎が鎮静化する可能性が高くなります。また、ウイルス量とともに、HBs抗原量が低値になると、肝がんが発生する危険が少なくなります。このためB型肝炎の抗ウイルス療法では、HBe抗原・抗体系の「セロコンバージョン」を起こすとともに、血中のHBV-DNA量とHBs抗原量を低下させて、血清ALT値が正常化することを目指します。そのためには、注射薬であるインターフェロン製剤と飲み薬である核酸アナログ製剤を用います。

①インターフェロン製剤、ペグインターフェロン製剤

インターフェロン製剤はウイルスに直接作用するとともに、身体にも働きかけてウイルスに対する「免疫」を高めることで、ウイルス量を減少させます。筋肉注射、静脈注射のインターフェロン製剤と、週1回の皮下注射でよいペグインターフェロン製剤が治療に使われています。ペグインターフェロン製剤の場合は48週間続けて投与すると、20~40%の患者さんで肝炎が抑えられ、治療を中止してもこの効果が持続します。インターフェロン製剤が効きやすいかどうかは、患者さんの年齢やウイルスの遺伝型(ゲノタイプ)によって差異がありますので、肝臓専門医と相談してください。また、核酸アナログ製剤を中止する目的で、ペグインターフェロン製剤を投与(シークエンシャル療法)する場合もあります。

②核酸アナログ製剤

核酸アナログ製剤はウイルスが肝臓の細胞の中で増えるのを抑える薬です。1日1回の内服で、血清HBV-DNA量が低下し、AST、ALT値が正常化します。ただし、服薬を中止するとウイルスが急に増えて、重篤な肝炎を発症する場合があります。また、長期間服用し続けると、B型肝炎ウイルスが突然変異をおこして、薬が効かなくなる耐性変異ウイルスが現れ、肝炎を再発することもあります。薬物に耐性変異のウイルスが出現した場合には、他の製剤を併用することで、治療効果が得られます。服薬する薬の種類、期間などについては、担当する肝臓専門医の指示に従い、決して自己判断で中止しないでください。

出典:
日本肝臓学会発行冊子「肝臓病の理解のために」2015,日本肝臓学会
https://www.jsh.or.jp/citizens/booklet/(2018年12月3日閲覧)
2 B型肝炎 P5,6を一部改変

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