脂肪性肝疾患はどのような特徴がありますか?
わが国では生活環境、食事内容の変化によって、最近では、肥満、メタボリック症候群、糖尿病などによる「非アルコール性脂肪性肝疾患(nonalcoholic fatty liver disease: NAFLD)」が増加しています。NAFLDの患者さんは1,000万人以上いると推定されますが、そのうち10%程度が肝硬変に進展するリスクが高い「非アルコール性脂肪肝炎(nonalcoholic steatohepatitis:NASH)」です。これらの病気では、体重のコントロールや糖尿病の治療によって、改善することが期待されます。また、アルコール性肝障害は禁酒によって改善します。
脂肪性肝疾患はどのように診断するのですか?
肥満、糖尿病などによる非アルコール性脂肪性肝疾患では、超音波検査などの画像検査が診断の契機となることが多いです。超音波検査では、肝臓が白く写るブライトレバー、腎臓との色調に差を生じる肝腎コントラスト、深い部分が写りにくくなる深部減衰などの所見で、脂肪肝を診断できます。
アルコール性肝障害でも、画像検査で脂肪肝の所見が認められます。血液検査ではγGTP値が特に高値になります。肝機能検査値の異常は断酒後に改善します。
脂肪性肝疾患はどのように治療するのですか?
肥満、アルコール過剰摂取による肝臓病では、生活習慣の改善が治療の基本となります。肥満に対しては、標準体重を目標として、食事療法と運動療法で減量するように努めます。事務職では[標準体重×25~30Kcal]、重労働では[標準体重×35Kcal]を目安に食事量を設定し、脂肪摂取は減らすように努めます。運動療法としては、速足で歩くなどの有酸素運動を少なくとも1日20分くらい行う必要があります。飲酒は純アルコール量[飲酒量(mL)×濃度(%)×アルコールの比重(0.8g/dL)÷100]で20~30g/日までであれば肝障害をきたすことは通常ありません。日本酒1合、ビール中瓶1本、ウイスキーダブル1杯、ワイングラス2杯がこれに相当しますので、飲酒量はこれ以下に抑えてください。
出典:
日本肝臓学会発行冊子「肝臓病の理解のために」2015,日本肝臓学会
https://www.jsh.or.jp/citizens/booklet/(2018年12月3日閲覧)
4 ウイルス以外による肝臓病 P2,3,4