慢性肝炎、肝硬変はどのように治療するのですか?
B型、C型肝炎ウイルスによる慢性肝炎、肝硬変の治療では、肝炎ウイルスに対する薬物療法が最も重要です。抗ウイルス薬によって肝炎ウイルスを排除したり、増えるのを抑えたりすると、肝臓の炎症は収まります。その結果、肝線維化の進行が止まり、肝がんが発生するリスクも低下します。また、肝臓に溜まった線維が溶けて、時間はかかりますが、硬くなった肝臓が元に戻ることもあります。
抗ウイルス薬が効かない場合や使えない場合には、病気の進行を抑えるために、肝細胞が壊れるのを抑える薬を、内服ないし注射で投与する肝庇護療法を行います。体内の鉄の量を減らす瀉血療法も、肝細胞が壊れるのを抑えるのに有用です。これらの治療によって、血中のAST、ALTの値が低下すると、肝硬変へ進むスピードはゆっくりとなります。また、肝がんの発生も先延ばしすることもできます。
自己免疫性肝炎では、免疫の力を抑えるために副腎皮質ステロイドを投与します。また、脂肪性肝炎では禁酒や食事療法と運動療法による体重制限が最も重要な治療法です。これらの治療で改善しない場合は、薬物療法を行う場合もあります。
出典:
日本肝臓学会発行冊子「肝臓病の理解のために」2015,日本肝臓学会
https://www.jsh.or.jp/citizens/booklet/(2018年12月3日閲覧)
1 慢性肝炎、肝硬変 P5