日常生活で注意することはありますか?
ウイルス性慢性肝炎の患者さんがお酒を飲むと、肝がんができる確率が高くなるという報告があります。飲酒を避けることは、病気を悪化させないために重要です。喫煙の肝がん発症への影響は完全には否定できません。喫煙は避けることが望ましいと思われます。
食事について特別に注意する必要はありませんが、栄養のバランスを考えて規則正しくとることが大切です。また、肝臓に鉄が多くたまっている人は鉄分の多い食事はひかえる必要があります。むくみや腹水がある方は、塩分摂取も制限した方が良いでしょう。軽い運動や散歩は構いません。そのために病気が悪化することはありません。
出典:
日本肝臓学会発行冊子「肝臓病の理解のために」2020,日本肝臓学会
https://www.jsh.or.jp/citizens/booklet/(2024年12月10日閲覧)
1 慢性肝炎、肝硬変 P9
日常生活
運動と安静
以前は、肝硬変の患者さんには安静が推奨されてきましたが、現在、慢性疾患の治療においては肥満の予防・解消、筋力減少(サルコペニア)の予防のために、運動療法が重要と考えられています。肝硬変の患者さんでは、重い運動を急激に行うよりも歩行など軽度の運動から始めること、そして何よりも継続が大切です。運動を続けることで、生活の活動範囲が広がりQOL(生活の質)が向上することも望まれます。
運動時間は毎日30分くらいを目安にし、疲れない、運動しながら会話ができる、軽く汗をかく程度の強さの運動が推奨されています。長期間体を動かしていないときには徐々に運動量を増やします。心地よい疲れを感じる程度を目安にしてください。翌朝起床時に疲労感が残っているようなら過剰です。
体がだるいと感じたときは無理をせず、休むことも大切です。体調が戻れば運動を再開し、継続してください。過剰な運動は禁物です。
黄疸、腹水やむくみ、肝性脳症(肝臓の機能低下による意識障害)などのある進んだ肝硬変では、原則的に運動は控えます。肝機能や体力に応じてどの程度の運動をしたらよいか、主治医と相談しながら決めましょう。
食後は消化と吸収のために、胃腸や肝臓が活発に働いている時間です。食後1~2時間は楽な姿勢でゆったりとしてください。
入浴や運動後は静かにゆったりとする時間を持ちましょう。安静のとり方は症状や病期に関係しますので主治医に相談してください。
睡眠
睡眠リズムを整えましょう。肝性脳症の症状のひとつに「昼夜逆転」があります。生活リズムを整えるために昼寝も推奨されていますが、長時間(1時間以上)の昼寝は夜間の不眠の原因となるため、注意が必要です。
感染防止
肝炎ウイルスへの感染予防のためには下記のような注意をします。このような注意さえ守れば、感染を過度に心配する必要はありません。
肝炎ウイルス感染予防のために
■歯ブラシ、カミソリなど血液が付いている可能性のあるものは共用しない。
■他の人の血液・体液にさわるときは、ゴム手袋などを着ける。
■不特定多数の相手との性行為には、必ずコンドームを使用する。
■ピアスや入れ墨などをするときは、適切に消毒された器具であることを必ず確かめる。
■注射器、注射針を共用しない(とくに非合法の薬物に注意)。
(厚生労働省「C型肝炎について(Q&A)」より一部改変)
一般的な生活ではほとんど感染しない
旅行
肝硬変でも、腹水や浮腫、黄疸、脳症のない時期であれば可能です。無理のないスケジュールで、ゆったりとしたペースで行いましょう。生ものを食べるのはできるだけ控え、薬(胃腸薬や風邪薬は主治医と相談して準備を)と健康保険証を忘れないように。
服薬
肝硬変では薬の分解力が落ちているため、多種類の薬を大量にのむと思わぬ副作用が出ます。複数の医師から薬をもらうときには、今のんでいる薬をみせて主治医とよく相談しましょう。
定期的な通院と検査
肝硬変では採血や画像検査など定期的な検査が欠かせません。必ず主治医を決めて定期的に受診してください。
出典:
肝がんと向き合う-治療から日常生活までの手引き- P18
監修:
虎の門病院 肝臓内科 医長 保坂哲也
虎の門病院 肝臓内科 部長 芥田憲夫
