C型肝炎はどうやって治療する?

C型肝炎はどのように治療するのですか?

C型慢性肝炎の治療の目標は、肝臓病が進んで肝硬変や肝がんになってしまわないようにすることです。このためには、抗ウイルス療法によってウイルスを排除し、肝臓病の進行を止めることが最も大切です。また、ウイルスの排除がうまくできなかった場合、副作用で抗ウイルス療法を中止してしまった場合、他の病気などの理由で抗ウイルス療法を受けられない場合などには、肝臓の炎症を抑える肝庇護療法を行うことで、肝臓病の進行を遅らせることができます。

①抗ウイルス療法

ウイルスを排除する治療には、インターフェロン製剤、経口抗ウイルス薬および直接作動型抗ウイルス薬(direct-acting antiviral agent: DAA)の3種類が使われます。

(1) インターフェロン製剤、ペグインターフェロン製剤
インターフェロン製剤は患者さんの身体に働きかけて、C型肝炎ウイルスを排除する物質を作らせたり、異物を排除する「免疫」の反応を強くしたりする注射薬です。ペグインターフェロン製剤はインターフェロン製剤に大きな糖鎖をつけて、血中から薬が消えにくくすることで、週1回投与で効果を発揮できるようにした製剤です。

(2) 経口抗ウイルス薬
経口抗ウイルス薬はインターフェロン製剤や直接作動型抗ウイルス薬と併用することで、これら薬の効果を高める飲み薬です。

(3) 直接作動型抗ウイルス薬
C型肝炎ウイルスが肝臓の細胞内で増える過程を直接抑制する飲み薬です。直接作動型抗ウイルス薬は、ペグインターフェロン製剤、経口抗ウイルス薬とともに3剤併用療法で用いられる直接作動型抗ウイルス薬、ならびに、インターフェロン製剤を使わない飲み薬のみによる治療に用いる直接作動型抗ウイルス薬、および、直接作動型抗ウイルス薬の配合薬などがあります。

以上のように、C型慢性肝炎、肝硬変の治療では、これら3種類の薬を使い分けますが、薬の組み合わせから、治療法は大きく分けて次の3通りに区分されます。
①インターフェロン製剤ないしペグインターフェロン製剤の単独療法あるいは経口抗ウイルス薬との2剤併用療法
②ペグインターフェロン製剤、経口抗ウイルス薬と直接作動型抗ウイルス薬の3剤併用療法
③複数の直接作動型抗ウイルス薬あるいは直接作動型抗ウイルス薬と経口抗ウイルス薬の2剤(3剤)併用療法

どの治療を行うかは、患者さんの年齢、今までの治療歴、その他の病気の有無と種類、C型肝炎ウイルスの量(HCV-RNA量)と型(ゲノタイプ、セロタイプ)によって決まります。また、インターフェロン製剤が効きやすい体質かどうかを調べるために、ヒトの遺伝子検査を行う場合もあります。また、直接作動型抗ウイルス薬を用いる場合は、薬に対するウイルスの感受性を調べることもあります。
副作用は、インターフェロン製剤、ペグインターフェロン製剤だけでなく、経口抗ウイルス薬、直接作動型抗ウイルス薬でも出現することがあるので、注意が必要です。また、これらの治療は大変専門性の高い治療法ですので、肝臓専門医と相談して、最適の治療を受けることが大切です。

②肝庇護療法

肝炎の鎮静化の目的で、肝・胆・消化機能改善剤の内服、肝機能改善薬の静脈注射などを行います。また、鉄は肝細胞が障害される際に必要な元素であることから、定期的な除血によって鉄の量を減らす瀉血療法も肝炎の鎮静化に有用です。

出典:
日本肝臓学会発行冊子「肝臓病の理解のために」2015,日本肝臓学会
https://www.jsh.or.jp/citizens/booklet/(2018年12月3日閲覧)
3 C型肝炎 P4,5,6より引用

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