肝がんはどうやって治療する?

どのような治療をするのですか?

手術(肝切除)

がんとその周囲の肝臓の組織を手術によって取り除く治療です。手術を行うかどうかは、肝機能の働きや切除後に肝臓の量をどれだけ残せるかによって判断します。

手術(肝切除)

(1)手術直後
手術直後には、酸素マスクやカテーテル、ドレーン(手術した場所から出る血液・体液を排出する管)などがからだにつけられていますが徐々に外されていきます。痛みは数ヵ月で治まることがほとんどです。

(2)手術の合併症について
肝臓の切除面から胆汁が漏れる胆汁漏、出血、肝不全などが起こることがあります。

ラジオ波焼灼療法・マイクロ波凝固療法

からだの外から特殊な針をがんに直接刺し、その針の先端部分に高熱を発生させることで、局所的にがんを焼いて死滅させる治療法です。合併症として、発熱、腹痛、出血、腸管損傷、肝機能障害などが起こることがあります。

ラジオ波焼灼療法・マイクロ波凝固療法

経皮的エタノール注入療法

からだの外から針を刺し、エタノールを直接注入してがん細胞の働きを止める治療法です。発熱、痛み、肝機能障害、出血などの副作用がみられることがあります。

経皮的エタノール注入療法

【塞栓療法】

肝動脈化学塞栓療法(TACE)

がんに栄養を運んでいる血管を人工的にふさいで、がんを“兵糧攻め”にする治療法です。血管造影に用いたカテーテルの先端を肝動脈まで進め、抗がん剤と造影剤を混ぜて注入し、その後に塞栓物質を注入する治療法です。

肝動脈塞栓療法(TAE)

肝動脈化学塞栓療法(TACE)と同様に、がんに栄養を運んでいる血管を人工的にふさいで、がんを“兵糧攻め”にする治療法です。

肝動脈塞栓療法(TAE)

【薬物療法】

肝動注化学療法(TAI)

血管造影に用いたカテーテルから抗がん剤のみを注入する治療法です。

肝動注化学療法(TAI)

分子標的治療薬

がん細胞が持っている特定の遺伝子やタンパク質をターゲットとして作用する薬で、主に以下の働きによってがん細胞の増殖を抑制します。
①がん細胞は増殖するために栄養の補給路として新しい血管を作り(血管新生)、周りの血管から多くの栄養を得ようとします。分子標的治療薬は、この血管新生を防ぐ働きがあります。
②がん細胞では増殖にかかわる信号の伝達が異常に高まっています。分子標的治療薬は、この信号の伝達を防ぐことで、がん細胞の増殖を抑制します。
副作用について:分子標的治療薬には、薬物ごとに固有の副作用があります。副作用が現れたら自己判断はせず、治療薬の減量や休薬は、担当医の指示に従ってください。

分子標的治療薬

放射線療法

骨に転移した時の疼痛緩和や、脳への転移に対する治療のみならず、近年は肝内の腫瘍や他の臓器への転移病変および血管(門脈、静脈)に広がった病変に対する治療を目的に行われることがあります。

放射線療法

肝移植

肝臓をすべて摘出して、かわりにドナー(臓器提供者)から肝臓を移植する治療法です。一定の条件がありますが、肝硬変や肝不全のために肝がんの治療が困難な場合に、治療法のオプションとして考えられています。

肝移植

出典:
肝がんと向き合う-治療から日常生活までの手引き- P8,9,10,11,12
監修:
虎の門病院 肝臓内科 医長 小林正宏
虎の門病院 肝臓内科 川村祐介

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