慢性肝炎、肝硬変はどうやって診断する?

慢性肝炎、肝硬変はどのように診断するのですか?

慢性肝炎は血液検査で診断します。AST(GOT)とALT(GPT)は肝細胞に含まれている酵素で、肝細胞が壊れると血液中に出てきます。このため血液中のAST、ALTの値が6ヶ月以上に亘って上昇している場合は慢性肝炎と診断します。また、血液中のAST、ALTの値はアルコールや肥満による脂肪性肝炎でも上昇し、肝臓病を見つけるためには血液検査が最も重要です。
慢性肝炎、脂肪性肝炎が進行して肝硬変になったかどうかは、肝臓の機能を反映する血中の物質を測定して調べます。肝細胞が合成しているアルブミン、解毒、排泄しているビリルビンなどが、肝臓の機能を反映します。血小板の数を測定することで、肝硬変への進展の程度を診断することも可能です。また、超音波検査で肝炎の程度、肝臓の硬さを調べることも、肝硬変への進展を評価するためには重要です。最近ではフィブロスキャンという肝臓の硬さを測定する検査を行う場合もあります。しかし、正確な病気の進展度を診断する必要がある場合には、肝臓に針を刺して、その一部を採取し、顕微鏡で観察する肝生検を行います。

慢性肝炎、肝硬変はどのように診断するのですか?
慢性肝炎、肝硬変の診断に有用な検査
血液検査 AST(GOT)、
ALT(GPT)
肝臓の炎症の程度がわかります。正常値は30 単位以下と考えられています。
血小板数 正常値は20 万以上ですが、肝臓の線維化が進むにつれて減少します。10 万以下の場合は肝硬変の可能性が高いと言えます。
アルブミン(Alb) 肝臓でつくられるタンパクで肝臓の働きが低下すると減少し、足のむくみや腹水が出現します。
ビリルビン(Bil) 肝臓で処理する物質です。肝臓の機能が低下すると滅中で増加し、皮膚が黄色くなる「黄疸」という症状が出現します。
腹部超音波検査(エコー) 超音波で肝臓の中を観察する検査です。肝硬変への進展の程度を診断できます。脂肪の沈着の程度や肝がんのスクリーニング検査にも有用です。
フィブロスキャン 体外から肝臓に振動波をあてて、その伝わりかたから肝臓の硬さを数値で表す検査です。
肝生検 肝臓の一部を針で刺して、組織を採取し、顕微鏡で観察します。慢性肝炎における炎症の強さや線維化の程度を判定するのに有用です。

出典:
日本肝臓学会発行冊子「肝臓病の理解のために」2015,日本肝臓学会
https://www.jsh.or.jp/citizens/booklet/(2018年12月3日閲覧)
1 慢性肝炎、肝硬変 P4

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