自己免疫性肝疾患の特徴・診断・治療

自己免疫性肝疾患はどのような特徴がありますか?

自己免疫性肝炎では、免疫反応を抑える薬による治療で、病気を改善することができます。しかし、薬を中止すると、肝臓の機能が正常化した後でも、再発することがあります。また、適切な治療を行わないと、重症肝炎を起こして、短期間に進行する場合があることにも注意しなければなりません。
原発性胆汁性胆管炎や原発性硬化性胆管炎は、胆管が障害されるため、進行すると黄疸が目立ちます。ただし、原発性胆汁性胆管炎では、治療薬を内服することで、大部分の患者さんで病気の進行を抑えることができます。一方、原発性硬化性胆管炎では胆管の細菌感染を繰り返し、感染を契機に病気が悪化することがあります。

出典:
日本肝臓学会発行冊子「肝臓病の理解のために」2015,日本肝臓学会
https://www.jsh.or.jp/citizens/booklet/(2018年12月3日閲覧)
4 ウイルス以外による肝臓病 P2を一部改訂

自己免疫性肝疾患はどのように診断するのですか?

自己免疫性肝疾患は肝障害と免疫異常を反映する血液検査所見を参考にして診断します。自己免疫性肝炎はウイルス性肝臓病と同様にASTとALTが上昇し、免疫異常を反映する抗核抗体が陽性となり、IgGが高値になります。
原発性胆汁性胆管炎では胆管障害の指標であるALP,γGTPが上昇し、免疫異常を反映する抗ミトコンドリア抗体が陽性となり、IgMが高値になります。なお、自己免疫性肝炎や原発性胆汁性胆管炎が疑われた場合は、肝生検を行って肝組織検査によって診断を確定することが望まれます。
原発性硬化性胆管炎は原発性胆汁性胆管炎を同様にALP,γGTPが上昇しますが、血液検査での免疫異常の所見は通常は見られません。内視鏡的下での胆管膵管造影検査、MRI検査などによって、胆管の狭窄と拡張の所見を確認することで、診断が確定します。

出典:
日本肝臓学会発行冊子「肝臓病の理解のために」2015,日本肝臓学会
https://www.jsh.or.jp/citizens/booklet/(2018年12月3日閲覧)
4 ウイルス以外による肝臓病 P4を一部改訂

自己免疫性肝疾患はどのように治療するのですか?

自己免疫性肝炎では免疫を抑制する副腎皮質ステロイドの内服で治療します。副腎皮質ステロイドは肥満、糖尿病、易感染性、消化性潰瘍、骨粗鬆症などの副作用がありますので、医師の服薬指導に従ってください。
原発性胆汁性胆管炎では肝・胆・消化機能改善剤の内服で治療します。原発性硬化性胆管炎では細菌感染による胆管炎を併発した際には、絶食、抗菌薬などで治療します。また、細くなった胆管を内視鏡的に拡張することもあります。

出典:
日本肝臓学会発行冊子「肝臓病の理解のために」2015,日本肝臓学会
https://www.jsh.or.jp/citizens/booklet/(2018年12月3日閲覧)
4 ウイルス以外による肝臓病 P5を一部改訂

次のページへ
前のページへ

他のコンテンツを見る

知る

メニュー