肝硬変と慢性肝炎の症状・治療の違い

肝硬変になった場合、慢性肝炎と比べて症状、治療に違いはありますか?

初期の肝硬変は慢性肝炎と同様にほとんど症状がみられません。この時期を「代償性肝硬変」と呼びます。しかし、肝線維化が進行して、肝臓の働きが低下した「非代償性肝硬変」になると、疲れやすくなったり、倦怠感を感じたり、足がむくむ、腹水によってお腹が張る、こむら返りが起こるなどの症状がでてきます。また、進行した肝硬変では便秘や脱水などをきっかけにして、意識障害(肝性脳症)がみられることがあります。
非代償性肝硬変では、浮腫や腹水に対しては利尿薬、肝性脳症の予防と治療には便通の改善薬や腸内の細菌の調節薬を投与したり、アミノ酸製剤による栄養療法を行ったりします。また、栄養状態を改善するために、寝る前に少量の食事を摂取したり、アミノ酸製剤を内服したりする栄養療法を実施する場合もあります。
なお、非代償性肝硬変でも、B型肝炎ウイルス感染や自己免疫性肝炎が原因の場合には、慢性肝炎の場合と同様に、抗ウイルス療法、副腎皮質ステロイドによる免疫抑制療法を行います。しかし、C型肝炎ウイルス感染の場合には、抗ウイルス療法が困難で、肝庇護療法を行うのが一般的です。また、脂肪性肝炎の場合は、肝硬変の場合でも禁酒、体重制限などの治療が重要であるのは言うまでもありません。

出典:
日本肝臓学会発行冊子「肝臓病の理解のために」2015,日本肝臓学会
https://www.jsh.or.jp/citizens/booklet/(2018年12月3日閲覧)
1 慢性肝炎、肝硬変 P6

肝硬変になった場合、慢性肝炎と比べて症状、治療に違いはありますか?

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