甲状腺の組織と甲状腺がん
甲状腺の組織は濾胞(ろほう)とよばれる小さな袋がたくさん結合して構成されています(図)。
甲状腺がんは、甲状腺の濾胞細胞、または濾胞傍細胞(C細胞)から発生し、組織の特徴によって、分化型甲状腺がん、甲状腺髄様がん、甲状腺未分化がんの3つの型に分類されます。
図:甲状腺と濾胞の断面
分化型甲状腺がん
乳頭がん
発症頻度 : | 甲状腺がんの中で最も多く、甲状腺がんの約85%がこのタイプです。 |
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患者の傾向 : | 40~50歳代の女性が多くみられます。 |
進行や広がり : | 進行はゆっくりで、数年たっても大きさがほとんど変わらないことが少なくありません。近くのリンパ節などに転移しやすい特徴がありますが、手術を中心とした治療が行われ、治療後の経過は良いと言われています。 |
濾胞がん
発症頻度 : | 甲状腺がんの約5%がこのタイプです。 |
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患者の傾向 : | 乳頭がんよりやや高齢者が多くみられます。 |
進行や広がり : | 血液の流れに乗って肺や骨などの遠くの臓器に転移することがあります(血行性転移)。治療後の経過は比較的良いと言われています。 |
甲状腺髄様がん
発症頻度 : | 甲状腺がんの約1~2%がこのタイプです。 |
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患者の傾向 : | 約20~30%は遺伝性(家族性)です。 |
進行や広がり : | 乳頭がんや濾胞がんよりも症状の進行が速く、肺や肝臓へ転移しやすい傾向にあります。 |
甲状腺未分化がん
発症頻度 : | 甲状腺がんの約1~2%がこのタイプです。 |
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患者の傾向 : | 60~70歳代の高齢者が多くみられます。 |
進行や広がり : | 進行が速く、甲状腺周囲の臓器(反回神経、気管、食道など)への広がりや肺、骨などの遠くの臓器へ転移しやすい傾向にあります。 |