肝硬変患者さんの栄養状態

①高たんぱく高エネルギー食に注意

アルコール性肝硬変では、飲酒のために食事からの栄養(たんぱく質やエネルギー)が不足しており、高たんぱく高エネルギー食が有効です。一方、日本で多いのはウイルス性の肝硬変です。そして、現代の平均的な日本人の食事はすでに高たんぱく高エネルギー食です。これらを過剰にとることよりもバランス良く適量をとることのほうが大切です。

②分岐鎖アミノ酸(BCAA)*の補充

肝硬変の患者さんは十分な食事をしていても栄養状態が悪いことがあります。原因のひとつは血液中のBCAAが減少することです。機能の低下した肝臓の代わりに筋肉でアンモニアが処理されますが、そのときにBCAAが使われます。また、糖がエネルギーとして利用できないときにBCAAがエネルギー源となります。このような場合には、BCAA製剤などで補充すれば、肝臓で作られるたんぱく質の合成が促進され、栄養状態が改善します。
さらに肝硬変が進行すると、食欲が落ち、たんぱく質の摂取が少なくなることがあります。特に脂肪の多いものは消化吸収も悪くなります。このような時期には食事はできるだけ消化の良いものにし、BCAA製剤で補います。それでもまだ栄養が不足する場合には、BCAAを多く含む栄養剤により補います。

*分岐鎖〔ぶんきさ〕アミノ酸(BCAA):バリン・ロイシン・イソロイシンという3種類のアミノ酸の総称

③肝臓の働きの低下によるエネルギー不足

肝臓はエネルギーの素となるブドウ糖をグリコーゲンとして蓄え、糖分のダムのような働きをします。ところがダムの働きが落ちてくると糖分が不足しエネルギーが足りなくなります。その結果、代わりに筋肉が壊されてそのアミノ酸を利用したり、脂肪を分解してエネルギーを作り出します。こうして筋肉は痩せ、体脂肪も減少するのです。そのうえ、ずっと安静にしていると筋肉はいっそう痩せ衰えます。したがって、筋肉を維持するためにはたんぱく質の補給だけではなく炭水化物(糖分)の補給や適度な運動も大切なのです。

肝硬変時の栄養状態

出典:
肝臓にやさしい食事と生活 P5
監修:
慶應義塾大学看護医療学部 教授 加藤眞三
慶應義塾大学病院 食養管理室 主任 大木いづみ

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