日常生活から療養生活の工夫まで幅広くサポートします
肝炎(肝疾患)医療コーディネーターインタビュー※

※都道府県によっては、名称が異なります。

  • 藤岳夕歌さん

    佐賀大学医学部附属病院
    肝疾患センター

  • 現在は、佐賀大学医学部附属病院肝疾患センターで相談業務に携わっている藤岳さんですが、患者さんやご家族からは、どのような相談を受けていますか?

    日常生活(食事や日常で気をつけることなど)、一般的な治療法や手術の概要、医療費助成や給付金、こころの悩み、診察室でのコミュニケーションなど、さまざまな相談を受けています。肝炎(肝疾患)医療コーディネーターは、患者さんやご家族と支援先の「かけはし」となる役割を担っていますので、「こんなことを相談してもいいの?」と思わず、些細なことでも遠慮せずに話していただけると嬉しいです。

    ■食事について:

    食事に関しては、お薬以外で唯一自らがコントロールできることなので皆さん大切に思っているようです。毎食の献立を画像に撮って見せてくれる方もいますし、栄養面について真剣に調べてくる方もいます。ご家族は特に「食事面でサポートできれば!」という思いが強いですね。なかには何を作ればよいのか悩みすぎて、「メニューを決めてほしい!」と相談に来る方もいらっしゃいます。治療には体力が必要ですので食事は大切です。ただ、食べることや食事を作ることが負担になってしまわないよう、栄養士さんと連携して肝臓病教室を開催し、メニューを提案したり、カロリー計算や栄養のコントロールの仕方を勉強したりするなど、食事の摂り方などについて患者さんやご家族が学べる機会もあります。

    ■健康食品やサプリについて:

    健康食品やサプリについての問い合わせも多いですね。皆さん「少しでも体によいものを」との思いがあるようですが、お薬との兼ね合いもあるので、主治医に相談するようお勧めしています。その際には、実物か、パンフレットなど内容が詳細にわかるものを持参するようお願いしています。

    ■ちょっとしたことでもご相談下さい(QOL):

    肝臓の状態によっては倦怠感やかゆみが出てくることがあります。「もともと疲れやすいから」、「乾燥肌だから」など「体質だから仕方ない」と思っている患者さんは多いようです。肝臓の病気が原因の場合もあり、倦怠感がある時にはこまめに休憩をとる、しっかり睡眠をとるなどして身体を休めるようアドバイスさせていただいています。また、かゆみについても塗り薬や飲み薬を使ってコントロールできますから、「体質だから」と言わず、かゆみに限らず気になることは遠慮せずご相談ください。それが対処法につながり、QOL(生活の質)がグッと上がりますよ。

    ■仕事について:

    外来中心の治療に変わってきましたので、働きながら治療を続けることが可能になりました。C型肝炎については通院の回数は数週間に1度、医療費の助成制度もありますから働き世代にとっては治療するには今がよいタイミングだと思います。しかし、診断のショックで専門医を受診する前に仕事を辞めてしまう方も、まだまだいらっしゃいます。治療と仕事は両立できるということを、肝炎(肝疾患)医療コーディネーターとしてもしっかりお伝えしていかなくてはと思っています。

    ■日常生活のこと:

    肝がんの原因の一つはウイルス性肝炎といわれています。B型、C型肝炎は血液や体液を介して伝播しますが、会話や握手、会食や食器の共有、入浴など代表的な日常行為では起こりません。疾患の正しい知識不足のため、職場での配置転換を含め、ご家族や友人のちょっとした一言で傷ついている方も多く、社会的偏見に関する相談もお受けしています。ご家族には日常生活の注意点をお話ししたり、B型肝炎ワクチン接種をおすすめしたりしています。職場や事業所へは、産業保健総合支援センターの窓口をご案内することもあります。疾患について正しい知識が広がり不安なく日常をおくれるよう支援体制もととのってきています。

    ※主治医や看護師、薬剤師にも是非ご相談ください。

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