副作用対策・排泄

放射線治療やがん薬物治療の影響による便秘と下痢で日々の生活に困っています。何か良い対策や方法はありますか?
  • 便秘と下痢は相反する排便障害ですが、長期間の便秘により反応性に下痢が生じる場合もあるため、便秘の管理を行うことによって下痢が軽快する場合もあります。このため、慢性的な便秘に伴う周期的な下痢が認められる場合は、まず便秘の管理から始めてみることも対策の一つです。

<便秘>

  • 便秘の管理には、生活習慣の改善と緩下剤等の薬剤を用いた対処法があります。日常生活での対応には、十分な水分補給、アルコール摂取の制限、1日3食定時の食事摂取、食物繊維の多い食品の摂取、適度な運動と腹部のマッサージなどがあります。緩下剤の使用については薬剤の種類や剤形など症状にあった薬剤の処方について担当の医師にご相談ください。
  • 便秘が長期に続いていて、吐き気や嘔吐を伴うときあるいは強い腹痛や発熱がある場合は、早急に病院を受診してください。

<下痢>

  • 下痢には治療当日から数日間認められる一過性の下痢と、何回か治療を行ってからあるいは治療終了後一定期間が過ぎてから出現する持続性の下痢があります。持続性の下痢は腸管粘膜の障害が原因であることがあり重症化する場合があります。また下痢の頻度や便の性状によっても対処法が異なりますので下痢が続く場合は担当医にご相談ください。
  • 一般的に通常の1日排便回数より4回を超える排便回数の増加がある場合は治療が必要とされています。特に水様性の下痢や便失禁を伴う7回以上の増加がある場合は入院治療を要する場合がありますので、早急に病院を受診してください。4回以下の排便回数の増加であっても水溶性の下痢を伴う場合は脱水に注意が必要です。経口補水液などにより十分な水分補給を行って担当の医師にご相談ください。また、下痢のときにはアルコールの摂取を行ってはいけません。

渡部 洋 先生
東北医科薬科大学医学部 産婦人科学教室 教授

排尿障害への対応として、おむつ等はどうすれば良いですか?もっと良い対策はありますか?
  • がん治療による代表的な排尿障害は、放射線治療などによって膀胱粘膜が萎縮し硬くなるために頻尿や残尿感あるいは血尿などを認める場合と、手術治療によって排尿に関係する神経の障害が生じるために、尿意が喪失する、あるいは尿意があっても排尿ができなくなる場合とがあります。特に尿意の喪失や自力での排尿ができない場合には膀胱への尿の貯留に対応できなくなるため、定期的な尿失禁を生じることがあります。この場合は、症状が改善するまで成人用おむつの着用が勧められます。なお排尿障害については原因に応じて薬物治療が行えますので、担当の医師にご相談ください。
  • 成人の一般的な排尿回数は1日4〜8回程度とされています。尿意を感じづらいときには、3~4時間の間隔を目安に時間を決めてトイレに行くことによって突然の尿失禁が防止できることがあります。
  • 尿意はおなかの下部が張る、あるいは重たい感じがするなどの症状で現れることがあります。このような症状がある場合は尿が溜まったサインかもしれませんので、トイレに行ってみましょう。
  • 自然に排尿できない場合は、軽く腹圧をかけると排尿できる場合がありますが、腹圧をかけても全く排尿ができない場合や尿失禁を繰り返す場合は担当の医師にご相談ください。
    毎日の排尿の状態を記録した排尿日誌をつけるとご自身の排尿を把握でき、外来受診の際に医師にも症状を伝えやすくなるため、排尿の記録をつけるのも良いでしょう。

渡部 洋 先生
東北医科薬科大学医学部 産婦人科学教室 教授

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